会員の皆さんからの質問に小澤会長が答えます!その②

イヌワシ塾へご質問をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
前回に引き続き、会員の皆さまからのご質問に対してイヌワシ保護協会 小澤会長が回答いたします。

【質問5】会員 Hさん

私生活をほとんど犠牲にしてまでの毎日の様にイヌワシ自主調査!

保護協会の会員数を見ても、その全てを生活費に充てたとしても生活出来るレベルの金額では無いので、私用は疑うべきレベルでもなく生活のネタはどうされているのでしょう?昔、アロワナで稼いでた時の株運用?クワガタ売ってる?ワシ研の会長をされてる時代に猛禽調査でご一緒させてもらった事がありますが・・・

その後は、仕事もせずにイヌワシ調査ばかり。生活費は奥さんが稼いでいるのですか?イヌワシ関連のアドバイザーでは、お金貰えませんよね?私から見たら、かすみを食べて生きてる様にしか見えません。差し障りの無い範囲で教えて貰えれば嬉しいです。出来る事なら真似させて頂きたい。

【回答】小澤会長

ご質問ありがとうございます。

そうですよね…。悪い事でもしているんじゃないか!?と言われたこともあります(^-^;

現在、イヌワシ保護協会では、イヌワシのための森林施業を第一の目標にしているため、皆さんからお預かりしている会費及び寄付金は一切調査費には当てず、必要経費以外はすべて目標達成のための資金としてプールさせて頂いております。

したがって、私の調査費用は、これまで貯めたお金を切り崩し、調査交通費としています。あとは、自給生活を目指し、ニワトリを飼い、畑づくりをし、今年からは、家族で田んぼも始めます。あとは、家族それぞれが時々頂くアルバイトといったことで、何とかイヌワシ40ペアの調査と生活を続けております。まー、一番は家族の理解と協力でしょうね。

それと、いつか日本で「イヌワシ保護」で食える人間を1人作る!という夢を私は持っています!武士は食わねど、何とかすれば私の様に肥える!でしょうか…。お互い、似た生活しておりますが、頑張りましょう!

【質問6】会員 Hさん

イヌワシが日本から大陸へ(その逆も)移動した記録はありますか?

【回答】小澤会長

ご質問ありがとうございます。

日本から大陸への記録はないと思います。日本でウイングマーカー等の個体識別できるものが装着されたのは、ほんの数個体です。それが海外で記録されたというのは、私は聞いておりません。大陸から日本への記録は、あると思います。長崎県対馬では、毎年冬鳥として飛来するとの記述が残っています。また、1920年代や1960年代には、イヌワシ3個体が捕獲や撲殺などされた記録があり、その頃は、大陸から越冬に来ていた個体が居たものと考えます。また、北海道の沿岸部での出現や海岸への漂着の記録があり、それも大陸からの移動個体の可能性があると私は考えています。

【質問7】会員 Wさん

放浪個体も調査対象ですか?

【回答】小澤会長

ご質問ありがとうございます。

はい!イヌワシであれば出現した個体は全て記録&撮影します。これまでも、偶然出会った放浪個体が、何年か後に出会った場所のペアに入れ替わったり、違う流域でペアになったことを把握したり、離れた県で再会したりしています。また、あるペアから出た幼鳥を親離れ後に別の流域で目撃したりもしています。放浪個体を把握することは、とても興味深いデータを提供してくれる重要なことと思っています。

【質問8】会員 Hさん

巣立った雛は、最長でどれくらい離れたところまで飛んでいくのですか?

【回答】小澤会長

ご質問ありがとうございます。

イヌワシは、繁殖率も非常に低く、個体数が減少していることから、ウイングマーカーや発信機を装着する個体へ負荷のかかる調査研究が多くありません。国内で幼鳥に装着したマーカーや発信機装着調査により把握された移動距離は、福井県で巣立った個体が2年半後に新潟県で確認された事例(直線距離約300㎞)。これが最長の記録と思われます。また、岩手県で巣立った個体が約2か月後に青森県で再保護された例(直線距離152㎞)などがあります。私は、イヌワシのその飛翔能力からすれば、もっと長距離を移動している個体もいるだろうと思っています。

さいごに

今回は「イヌワシ塾」の新たな形として、会員の皆さまからたくさんのご質問をお寄せいただき、第二回イヌワシ塾とさせて頂きました。

今回、このような形を取らせて頂き、今後はあえて期限などを設けた募集はせず、イヌワシについて「ちょっと気になるな」「こんなこと聞いてみたいな」と思ったときに、いつでも気軽に聞いて頂く形がベストであろうと考えました。

今後は、思い立ったらすぐ「メールで質問」という形に変更させて頂きたいと思います。イヌワシ調査で、山に籠り連絡不通になることもある会長ですが、出来るだけ早めに回答するよう努力致します。これからも、イヌワシとイヌワシ保護協会の活動に親しんでいただけるよう、身近に感じてもらえる情報をお届けしていきたいと思います。

【質問の受付方法】
メールにてお寄せください。
info@inuwashi-hogokyokai.jp