会員の皆さんからの質問に小澤会長が答えます!その①
このたびは、イヌワシ塾へのたくさんのご質問をお寄せいただき、誠にありがとうございました。会員の皆さまの関心の高さや、イヌワシを想うお気持ちが伝わってきて、事務局一同とても励まされました。お寄せいただいたご質問に対し、イヌワシ保護協会小澤会長がお答えします。
多くの質問をいただいたため、2回に分けて掲載いたします。
【質問1】会員 Tさん
保護活動についての質問です。
猛禽類が好きで写真撮影をしているのですが、保護活動に携わりたいと思い入会してみました。ただイヌワシが生息していない四国に住んでおり、入会して良かったのかなと悩んでいます。イヌワシが生息していない、中部地方から離れた場所でも何か保護活動に携わることができるのでしょうか?
【回答】小澤会長
ご入会、そしてご質問ありがとうございます!
Tさんにイヌワシ保護協会にご入会頂いたことは、とても良かったです!
まず、イヌワシは、富山県に居るペアが全て富山生まれという事はないと考えます。おそらく、四国であれば、北陸や中部以西で巣立ったペアが放浪に放浪を重ね、四国に辿り着き、雌雄どちらかが居なくなったペア生息地に入り込む!という流れを経て、四国で定着したものと考えます。こうしたことからも、イヌワシは生息地であるその県だけを守れば、日本のイヌワシが守れる!というものではなく、全国のみんなで情報交換しながら、協力し、イヌワシという種を守っていくことが重要と考えています。イヌワシ保護協会も、保護事業を1カ所目は富山県で計画していますが、それが成功すればそのノウハウを全国に広めたいと思っています。また、次の候補地を、過去のイヌワシ生息地(県問わず)にイヌワシを呼び戻すような計画にしても良いと思っています。
私自身、2023年11月に、四国で過去にイヌワシが出現したという場所を四国の会員さんに連れて回って頂き、視察させて頂きました。残念ながら、その時はイヌワシの出現はありませんでした。しかも、環境自体クマタカでも多くは生息できないだろうと思える空間の無い環境に変わっていました。しかし、四国は林業が盛んですし、伐採跡地も見かけます。現在も時々は四国や淡路島などでのイヌワシの出現を耳にします。是非、四国でイヌワシを見つけてください!もし、識別にご不安があれば、富山に来て頂いて、実際に何度か見て頂く事も可能と思います。その上で、しっかりとした課題が見つかれば、是非四国でイヌワシ保護協会事業を展開していきましょう!写真を撮られるという事ですので、是非怪しい個体が居たら見せてください。点の様にしか写らなかった写真でも頑張って識別してみます!
イヌワシ保護協会は、まだまだ弱い部分も多く、離れた場所でもご協力頂けることが多々あります。何か、出来そうなことがあれば、ご提案頂けたら嬉しいです!今後とも同じイヌワシ保護協会会員として、よろしくお願いいたします。
【質問2】会員 Wさん
繁殖期の雄と雌で役割分担はありますか?また子育ての仕方で違いはありますか?
【回答】小澤会長
ご質問ありがとうございます。
あります。基本的には、抱卵期や育雛初期は雌が巣に居る時間が長く、雄は狩りに出ていることが多いです。ただし、育雛後期は、雌雄の狩りの能力だったりが大きく、それぞれペアによって違います。また、巣立ち後は、雄が中心となり子育てをするペアも良く見かけます。なので、人間同様、基本的な役割分担はありますが、ある部分では得意な方が、得意なことをするという事だと思います。
【質問3】会員 Wさん
何らかの理由で親に直接狩りを教えてもらえなかった子供がいた場合、自然界で生きていくのは難しいですか?
【回答】小澤会長
ご質問ありがとうございます。
正確に回答することは、出来ませんが、難しいと私は思います。幼鳥は、巣立ち後、飛翔や狩りの技術を、親鳥の行動を見ることや親鳥との接触、そしてそれらを真似する事や自らの遊びの中で身に着けていきます。もちろん、その後、親鳥との実践もあります。しかも、そのような条件下でも自ら狩りができるようになるまで、数か月を要します。しかも、親元で狩りを学んだ幼鳥が、親元を離れたあと成鳥まで生存できる割合は、正確なことは言えませんが、日本では“極めて、極めて”少ないと考えます。これらの理由から、巣立ち後の幼鳥が、親鳥との生活なくして生き抜くことは極めて困難であろうと私は考えます。教習所や実際の練習もせず、車だけ与えられて、「さー運転してきな!」と言われても出来ないのと一緒ですかね。
【質問4】会員 Wさん
成鳥になってもパートナーを持たない個体もいるのですか?
【回答】小澤会長
ご質問ありがとうございます。
成鳥=成羽を獲得した個体とするなら、居ます。
私自身、ペアになっていない放浪する成鳥個体は、これまでに何十個体と見ています。
質問への回答は後半につづきます。その②もぜひご覧ください!